ヴァルナ国際バレエコンクールの紹介

1974年、日本人で初めてヴァルナ国際バレエコンクールで金賞を受賞した森下洋子先生。
ヴァルナ国際バレエコンクール50周年の節目の年に、審査員として40年ぶりにヴァルナを訪れた感想などをインタビューさせていただきました。

  • 受賞以来はじめて訪れたヴァルナの印象はいかがでしょうか
  • 時の流れを感じたのは、野外劇場の柱にからまる蔦が、森のように生い茂っていたことです。
    また、ヴァルナのお客様はとてもあたたかい。拍手やブラボーと言う声がかかって、踊る人はとても励まされたのではないかと思います。
    そしてまた、今回参加してヴァルナ国際バレエコンクールの権威を感じました。世界中の皆様が集まってきていて、素晴らしいコンクールだとあらためて感じました。
  • 当時、ヴァルナ国際バレエコンクールへの出場を決めたきっかけは何だったのでしょうか?
  • 世界の人たちの踊りを一度見てみたいという思いから出場を決めました。
  • 当時、コンクールに参加したときのエピソードなどあればお教えください
  • ヴァルナに入ってから、なかなか食欲がわかない私のために、松山樹子先生がどこからかお鍋を買ってきてくださり、ご飯をたいておにぎりをつくってくださったことを懐かしく思い出します。
  • 金賞を受賞したときのお気持ちはどのようなものだったのでしょうか
  • 世間が「金メダル、金メダル」と大騒ぎになってしまっていたので、これでやっと日本に帰れる、とほっとしたのが正直なところです。そして日本人にもバレエができると世界の方、また日本の多くの人がわかってくれたことを何より嬉しく思いました。
  • 先生が出場された頃と、今のコンクールでは違いはありましたか?
  • 出場者のレベルは向上していて、最終まで残る方たちはみなさんとても力強くて素晴らしい、皆とてもよくやっていて、甲乙を付けがたかったです。
  • 審査員としてみるヴァルナ国際バレエコンクールとはどのようなものでしょうか。
    また日本人ダンサーが外国のダンサーと共に国内外で活動をするために技術面、精神面で必要な事があればお教えください
  • ヴァルナ国際バレエコンクールは金賞に値しなければ金メダルを出さないコンクールです。今回も金賞は出ていません。技術的にはみなさんとても素晴らしかった、でも金を出さないことも、審査員全員一致したところでした。ヴァルナ国際バレエコンクールの金賞は、技術だけではない内面の充実が大きなポイントとなります。
    今回私は、40年の時を経て、清水哲太郎振付のパブロ・カザルスの「鳥の歌」を踊らせていただきました。1974年の受賞者が今も踊っているということに会場のみなさんはとても驚いていましたが、踊り終えるとたくさんの感動の声をいただきました。出場者たちもみな舞台袖に鈴なりになって集まって、息をのんで見つめていました。技術とともに、自分が舞台芸術に対してどういう思いをもつかがとても大切だと思っています。
  • 最後にバレリーナを目指す子供達に向けてメッセージをいただけますでしょうか
  • 私は子供のころ、とても不器用でした。でも、やっていけば必ずできると思って毎日稽古していると必ずできるようになります。できないからと言って簡単にあきらめずに、長いスパンで考えて、少しずつこつこつと積み重ねて、継続していただきたいと思っています。
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